祝:ノーベル化学賞吉野さま 


企業出身者の吉野さんがリチウムイオン電池の電極の発見でノーベル化学賞を受賞した。日本人として、また企業で研究開発に従事していた者として、また同業に属する者として心から祝福したい。

早速、インタビューや会見で人柄に魅了された。笑顔がとてもよく、会社の中でもファンが多いというのも雰囲気であるが、すぐに理解できた。

よくあるインタビューであるが、どういう能力が必要かという質問に対し、粘り強さと壁にぶち当たった時の楽観さとあった。また、リチウムイオン電池の恩恵にあずかるスマホの利用を吉野さん本人が始めたのが5年前、需要・ニーズの着眼が20数年前というのも研究のコツを知る上で面白いと思った。何が言いたいかというと恩恵に自分が預かるためというよりは公という高い視点で世の中の動きを予測する目と自分の研究者としての自尊心が重要なのではないかと感じたことだ。物理学者がよく身の周りの最新機器の使用に疎いというのは聞いたことはある。子供へのメッセージとして幅広く関心を持つことと後進を育てる気持ちも垣間見られた。人格も子供には良い見本になるだろう。小生も研究者として子供の頃の好奇心の多さと粘り強さはあったが、大した成果は五十路を超えてない。
企業は色々な間接部門が研究開発を支えているが、やはり未来を創る仕事としては大変であるものの研究開発がとても重要である。
しかしながら、利益の源泉となる研究開発の使命からプロジェクトがうまく行かず頓挫することは多く、長期的視点で経営者が何を残すかという判断で研究者の生死が決まってしまうことは多々ある。

企業に溜まった死屍累々とした基礎研究の多くがあることは殆ど知られていないが、今の日本の企業の競争力の原点となっていることは間違いない。社会がもっと研究者のひたむきさを評価し、失敗をしても高い待遇を処遇していくことが先進国としての地位を保つ必要条件だと思った。世界の大学ランキングはそれとして指標ではあるが、日本の学生・研究者はもっと深いところで日本の底力があることに自信を持ってもらいたい。

コメント

人気の投稿